【1月29日 AFP】妊娠中の女性は、中南米やカリブ海(Caribbean Sea)諸国への渡航を控えることが奨励されている。同地域では、頭部が異常に小さい状態で生まれる小頭症が急増しているのだ。

 小頭症の増加は、通常は害の少ないジカウイルスの流行と一致している。だが、ジカウイルスと先天異常は科学的には関連づけられておらず、母体内の胎児に何が起きているのか、多くの疑問が残されたままだ。

 そこで専門家に話を聞いた。

Q:小頭症はどんな病気か。
A:小頭症にかかると、胎児の時または出産時の脳と頭蓋骨が月齢に比べて異常に小さく、結果として脳にさまざまな程度の損傷が生じる。可能性のある原因は、感染症、ウイルス、有害物質、未知の遺伝要因など。
(フランス国立保健医学研究所(INSERM)、ジャンフランソワ・デルフレシ(Jean-Francois Delfraissy)氏 )

Q:小頭症の子どもには何が起きるのか。
A:深刻な場合は、早期に死亡する。脳が未発達だと、体が適切に機能できない。(発症地域の一つの)仏領ポリネシア(French Polynesia)では、ほとんどのケースが死産となっている。胎児が生存できないのだ。
(マルティニク大学病院(University Hospital of Martinique)感染症科部長アンドレ・キャビ(Andre Cabie)氏)

Q:ウイルスは胎児にどう影響するのか。
A:風疹やサイトメガロウイルスといったウイルス感染の多くは、特に生命に必要な臓器がつくられる妊娠初期の3か月の間に、身体的・知的欠陥を引き起こす場合がある。ウイルスは胎盤を通じて胎児、時にはその脳に直接感染する。(デルフレシ氏)

Q:なぜ小頭症がジカウイルスと関連していると考えられるのか。
A:小頭症の発症例が、ジカ熱流行地域で増大しているとみられるからだ。また、小頭症で死産した胎児や羊水から、ジカウイルスが検出されている。ジカウイルスと小頭症が関連している可能性は非常に高いが、科学的にはまだ証明されていない。(デルフレシ氏)

Q: さらに理解を深めるため、どのような研究が行われているか。
A:2013年末から2014年初めにかけてジカ熱が流行した仏領ポリネシアで、ウイルスが胎児に及ぼす影響についての理解を深める研究が行われている。現在、ジカ熱が流行中のマルティニクでは、研究のために臨床試験に参加する妊婦を集めているところだ。

 難しいのは、このウイルスの感染者には普通、症状が出ないことだ。妊婦が知らないうちに感染する可能性がある。他方で、妊娠中にジカ熱に感染したものの、産んだ子どもが小頭症を発症しなかった事例の観察が行われている。(キャビ氏)

Q:ジカ熱は人から人に感染するか。
A:性感染の例が1件あり、理論的には移植や輸血による感染も除外できない。だが、主な感染ルートは蚊によるものだ。
(英グラスゴー大学(University of Glasgow)ウイルス研究センター、アラン・コール(Alain Kohl)氏)

(c)AFP/Delphine TOUITOU