【1月28日 AFP】ドイツの首都ベルリン(Berlin)で今月にロシア系の少女(13)がレイプ被害を訴えた事件をめぐり、両国政府が非難の応酬を繰り広げている。ロシア側は、ドイツ当局が事件の隠ぺいを図った可能性を示唆。これに対し、ドイツ側はロシアが事件を「政治利用」しようとしていると反発している。

 少女は11日、通学途中に失踪したとされ、帰宅後に警察に被害届を提出。両親は捜査当局に対し、少女はベルリン東部の鉄道駅で外国人の移民とみられる男3人に拉致された後、アパートに連れていかれ、レイプされたり殴られたりしたと説明したという。だがドイツの警察当局は先週、少女が性的暴行を受けた証拠はないと発表していた。

 事件は激しい怒りを巻き起こし、極右系ウェブサイトやロシアメディアはドイツ当局が意図的に少女の主張を葬ったとの批判を展開。ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相も26日、ドイツ当局が少女の失踪を「隠していた」と主張し、少女の言い分は信頼できるとの立場を示した。

 対するドイツのフランクワルター・シュタインマイヤー(Frank-Walter Steinmeier)外相は、ロシア側の見解はすでにドイツ国内で激しい論争を巻き起こしている難民問題の「炎上」を図ったものだと非難。さらに政府報道官も27日、「この問題を政治利用する道理などないし、そうすることは実際に許容できない」と反論した。

 ドイツの捜査当局は、少女が性的関係を強要された証拠はないと指摘した上で、「制定法上の強姦(ごうかん)」の疑いで少なくとも1人の男に対する捜査を開始したことを明らかにしている。ドイツでは、14歳未満との性交渉は合意があったとしても「強姦」とみなされ、禁錮刑の対象となる。(c)AFP/Deborah COLE