【1月21日 AFP】フィンランドの野生保護当局は21日、国内に生息するオオカミの約20%を駆除対象とする試験的な間引きを今週末から実施すると発表した。昨年から再開された間引きには、環境保護活動家らから懸念の声が出ている。

 フィンランドの地方部では近年、オオカミが私有地をうろついたり、飼い犬や家畜を殺したりする事例が相次ぎ、一部の土地所有者が違法にオオカミ狩りを行う事態となっている。当局は、国内に推定250頭いる灰色オオカミの50頭近くを合法的に駆除することで、違法狩猟が減少すると期待している。

 23日に始まる間引きでは、狩猟免許を持つハンターが地域ごとに決められた上限に従って狩りを行う。

 フィンランドは、欧州連合(EU)の絶滅危惧種保護規制に違反していると欧州委員会(European Commission)から指摘されたことを受け、2007年から8年間、保護を理由にオオカミ狩りを禁止していた。だが、その結果、違法狩猟が横行。動物保護団体とオオカミを害獣とみなす人々との間で亀裂が深まったことから、政府は2015年、試験的な間引きを再開した。

 環境保護活動家は、1か月にわたる間引きがオオカミの遺伝的多様性を損なう恐れがあるとして懸念を表明している。

 2015年に行われた再開後初の間引きでは、24件の狩猟許可が出され、オオカミ計17頭が駆除された。今年は許可数がほぼ倍増して46件となり、環境保護活動家からは大きな反対の声が上がっている。(c)AFP