■嫌悪感との闘い

 こうした現状について、ウンゲルさんはもったいないと語る。虫はおいしいだけでなく、従来の家畜より持続可能なたんぱく質の供給元であり、世界の増加する人口を食べさせていくには不可欠であるからだ。

「幼虫を育てるのに必要な土地は、肉牛を育てる場合のわずか10%で育てられる。餌も4分の1ほどでいい」と、ウンゲルさんは言う。

 実際、FAOも2013年に、さらなる研究が必要だと前置きした上で、幼虫には人間の食用としてではなく、家畜用の餌としても「大きな可能性」があると指摘している。

 ウンゲルさんとカイジンガーさんの会社「リビン・ファームズ(Livin Farms)」によれば、幼虫は栄養価が高く、牛肉と同じくらいのたんぱく質、卵より多くのビタミンB12、ブロッコリより多くの食物繊維を含んでいるという。

 オーストリアの著名なフードブロガー、アレクサンドラ・パッラ(Alexandra Palla)さんは最近の試食会で、幼虫入りリゾットのレシピを投稿する計画を発表した。その味は「ナッツとか、きのこっぽい」が、「すごくおいしいものではない」という。

 欧州の人たちが幼虫に対する「嫌悪感」を克服し、実際に食材として見ることができるようになるには、いくらかの時間がかかるだろうと、パッラさんは述べた。

 まずは虫だと思わずに、一度試してみることから始めたほうがよさそうだ。「将来的に、世界のほとんどの人々が虫を食べているだろう」と、カイジンガーさんは語った。(c)AFP/Simon STURDEE