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1万年前の人骨に「集団虐殺」の痕跡、研究で解明

2016年1月21日 12:59 発信地:パリ/フランス

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1万年前の人骨に「集団虐殺」の痕跡、研究で解明
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ケニアのトゥルカナ湖近くのナタルクで発掘された頭蓋骨の一つ。男性のもので複数の損傷の跡がみられる(2016年1月19日提供)。(c)AFP/NATURE/"MARTA MIRAZON LAHR/FABIO LAHR"

【1月21日 AFP】約1万年前、男性と女性と子どもの小集団が別のグループに捕えられ、縄で縛られた揚げ句に、矢で射られたりこん棒で殴られたりして殺された──。沼に投げ込まれた彼らの遺体は、数千年間、堆積物の中で保存されていた。

 これらの遺体を、知られている中で最古の人間の「集団虐殺」の証拠として提示した研究結果が20日、発表された。なぜ人間は戦争をするのかをめぐる議論を再燃させる結果だという。

 集団虐殺が起きたのは、有史以前の人間の祖先が狩猟採集民として暮らしていた時代の末期だ。この後間もなく農業革命が起き、初期人類は土地を耕すために定住するようになった。

 ケニアのトゥルカナ湖(Lake Turkana)近くのナタルク(Nataruk)で発掘された、傷の跡が残るこれら数多くの骨は「集団間の争いであったに違いない何らかの出来事の決定的な証拠」を提供していると、英ケンブリッジ大学(Cambridge University)の人類学者、マルタ・ミラゾン・ラー(Marta Mirazon Lahr)氏は説明している。

「定住型の社会が形成される前の時代、村落や共同墓地が築かれる前の時代に起きた集団間闘争を示す証拠で、まさしく他に類を見ないものだ」(ラー氏)

 ラー氏が主導した研究の成果は、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 これよりさらに古い時代の、個人の人間に対する暴力行為を示す化石証拠は他にもあるが、集団間の衝突を示す証拠はこれまで存在しなかった。

 ラー氏と研究チームは、現在は不毛な半砂漠地帯だが、1万年前は肥沃(ひよく)な土地の沼の縁だったと思われる場所で、ほぼ完全な状態の人骨12体を発掘した。

 うち10体には、暴力的な死の痕跡が残されていた。中には、黒曜石と呼ばれる黒い石でできた矢尻が骨に深く突き刺さったままのものもあった。小さな子どもの骨を含む断片的な人骨も見つかっている。


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