【1月20日 AFP】1950年以降に報告されている世界の漁獲高は、実際の数字を大幅に下回っているとの研究結果が19日、発表された。研究によると、毎年数千万トンが未報告とされ、この結果は、漁業資源が不足に陥りつつある可能性に警鐘を鳴らすものだという。

 研究によると、2010年に漁獲された魚介類の総量は約1億900万トンで、国連(UN)の食糧農業機関(FAO)に報告された7700万トンより30%多かったという。

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)の研究者2人のチームが指摘するところによると、この数字は同年に「全米人の体重を上回る」約3200万トンの漁獲量が未報告のままだったことを意味するという。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文によると、1996年のピーク時の世界漁獲高は8600万トンとFAOの文書に記録されているが、実際には1億3000万トン近くに上っていたという。

 論文主執筆者のダニエル・ポーリー(Daniel Pauly)氏は「世界(の国々)は魚介類の共同銀行口座から、すでにどれだけ引き出されているのか、残高がどれくらいあるのかなどの事実を知らないまま、中身を引き出している」と説明する。

 ポーリー氏と共同研究者のディルク・ゼラー(Dirk Zeller)氏は、「漁獲高の再構成」をまとめるにあたり、FAOのデータと、国の公式報告書から除外されていることの多いデータの推計値とを組み合わせて参照した。

「除外されたデータ」には、小規模の商業漁業や生活権漁業、娯楽の釣り、違法漁業、混獲投棄などによる漁獲量を含めたものになっている。

 50あまりの研究機関の研究者100人の協力を得た研究チームは、研究文献、漁業統計資料、地域の漁業専門家、法執行機関、沿岸地域の自治体、観光客の釣果記録などからデータを収集した。

「1950年~2010年の期間の再構成された世界漁獲高は、FAOに報告されたデータが示唆する値より50%高いことが、今回の研究で判明した」と論文の執筆者らは記しており、また厳格な漁獲の報告と監視を強化する必要性を呼び掛けた。