【12月30日 AFP】米テキサス(Texas)州の裕福な家庭の息子で、16歳の時に飲酒運転で4人を死亡させた事故をめぐり受けた保護観察処分の期間中に逃亡していた少年が、母親と共にメキシコで身柄を拘束された。メキシコの当局が29日、明らかにした。

 ハリスコ(Jalisco)州検察当局が出した声明によると、イーサン・カウチ(Ethan Couch)容疑者(18)は母親のトーニャ(Tonya Couch)容疑者と共に、リゾート都市プエルトバジャルタ(Puerto Vallarta)の交差点で28日夜に拘束された。

 両容疑者はメキシコでの「正式な滞在許可を提示できなかった」ことを理由に、国家移住庁に引き渡された。近く米国へ送還されるという。

 テキサス州当局は、両容疑者が保護観察処分を無視する逃避行を「綿密に計画」し、今月に自宅を離れる前には送別会のようなパーティーを催していたとしている。

 イーサン容疑者は2013年、ピックアップトラックで歩行者の列に突っ込んだ上、別の車両と衝突する事故を起こし、4人が死亡、数人が重傷を負った。同容疑者の血中からは、法定許容量の3倍近いアルコールが検出された。

 この事故を巡っては、裁判で被告側の証人として出廷した心理学者が、富豪の両親を持つ同容疑者は「アフルエンザ」なる病を患っていると証言したことから、現地メディアによって大々的に報じられた。

 この病名は、裕福という意味の「アフルーエンス(affluence)」とインフルエンザを掛け合わせたもので、経済的に恵まれている出自により自身の行動がもたらす結果を理解できない状況に陥っていることを示唆していた。

 検察側は禁錮20年を求刑したが、結局は精神衛生治療と10年間の保護観察処分という判決が下り、その刑の軽さや、イーサン容疑者が全く反省の念を示していなかったことから、多くの米国民に衝撃を与えた。(c)AFP