【12月30日 AFP】米国防総省は29日、米主導の有志国連合がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を標的としてシリアとイラクで今月実施した空爆で、ISの幹部10人を殺害したと発表した。うち1人は、先月フランス・パリ(Paris)で発生した同時テロの首謀者とされる人物と「直接的な」つながりがあったとみられる人物だったという。

 イラク・バグダッド(Baghdad)に駐留している米国防総省報道官スティーブ・ウォーレン(Steve Warren)大佐はビデオ会議システムを使った記者会見で、米軍主導の有志連合が24日に実施した空爆で、フランス人のシャラフ・ムアダン(Charaffe el Mouadan)容疑者(26)が死亡したと発表した。

 ウォーレン大佐によると、ムアダン容疑者はシリアに拠点を置くISのメンバーで、130人が殺害されたパリ同時テロの首謀者とされるアブデルハミド・アバウド(Abdelhamid Abaaoud)容疑者と「直接的なつながりがあった」という。アバウド容疑者は、同時テロの5日後にパリ北郊で行われた大規模な強制捜査で死亡している。

 同大佐は、ムアダン容疑者は欧米諸国に対するさらなる攻撃を積極的に計画していたと述べたが、詳細については明かさなかった。

 匿名でAFPの取材に応じた仏当局者は、ムアダン容疑者がパリの同時テロに関与した証拠は今のところないと話している。だが、同容疑者は現場の一つとなった劇場「バタクラン(Bataclan)」で自爆した実行犯の一人であるサミ・アミムール(Samy Amimour)容疑者と親しい関係にあったという。

 ムアダン容疑者はモロッコ生まれの両親を持ち、8人きょうだいの末っ子としてパリ郊外で幼少期を過ごした。捜査関係筋がAFPに語ったところによると、2012年10月には、近所の友人2人とソマリア経由でのイエメンかアフガニスタンへの渡航を企図していた際に逮捕されていた。(c)AFP/Thomas WATKINS