【12月29日 AFP】中国で殺人罪により3度にわたって死刑判決を受け、死刑囚として11年過ごした後に一転無罪となった男性にこのほど、賠償金として127万元(2360万円)が支払われることになった。中国国営の新華社(Xinhua)通信などが29日、報じた。

 賠償金を得たのは内陸部の湖南(Hunan)省にある湘潭大学(Xiangtan University)の元大学院生。同級生を殺害したとして2004年に最初の死刑判決を言い渡された。この判決は上訴審で3度破棄され、裁判のやり直しが命じられたが、2005年と2010年に開かれた2回の再審でもやはり死刑を宣告された。

 しかし今年7月、この男性にとって4度目となる公判で、湘潭市中級人民法院(Xiangtan Intermediate People's Court)は「証拠不十分」として無罪の判決を言い渡した。新華社によると同法院は28日、賠償金として127万元の支払いを命じた。

 同法院は、この事件では別の学生が単独の殺人犯だったと認定。被告の学生は嫉妬に駆られて被害者に毒を盛り、無罪となった男性の関与を示すよう偽の痕跡を残していた。以前の公判で被告の学生は男性の共謀者とされ、終身刑を言い渡されていた。

 今回のケースは中国の司法制度における誤審のリスクを改めて浮き彫りにした。中国では自白の強要が横行し、刑事事件の被告のほぼ全員が有罪判決を受けているとみられている。(c)AFP