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動画:コオロギやゴキブリが食材に、昆虫食伝道師の鍋パーティー

2015年12月29日 17:46 発信地:東京

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【12月29日 AFPBB News】12月21日夜、神奈川県のあるアパートの一室は、「地球を感じる闇鍋」パーティーの参加者約20人でにぎわった。開催したのは、昆虫食の普及にまい進する、篠原祐太さん(21)。慶應大学に通う大学2年生だ。6畳とキッチンのアパートに、コオロギからゲンゴロウ、ゴキブリに至るまで、あらゆる種類の生物を数千匹は飼う。

 普段の昆虫食の企画は月に数回。TwitterやFacebookなどのSNSでの告知を通じて、大抵20人前後が老若男女問わず集まる。今回の闇鍋は「どんな食べ物も生き物であり、どんな生き物もまた食べ物である」をコンセプトに、コオロギ、ゴキブリ、イナゴ、ミールワーム、ハニーワーム、カイコ、ゲンゴロウ、タガメなどの昆虫に加え、ヤモリ、カエル、イモリや、普段食べられていない部位であるカモの頭や豚の鼻などが使われている。これらの食材は、市販の食用のものや、篠原さんが飼育したものなどがある。

 

昆虫や爬虫類などが調理された鍋を囲む参加者(2015年12月21日撮影)。(c)AFPBB News/Yoko Akiyoshi

 篠原さんが昆虫食を始めたのは17年前。原っぱにいたバッタを、ふと口に入れたのが始まりだった。

「最初に食べたのは4歳とか5歳くらいの頃。当時虫がめちゃくちゃ好きで虫取りをよくしていたんですけれど、ふとした時に口に入れちゃったくらいの感じだった」

 

「くせがなく食べやすい」と言われるジャイアントミールワームの素揚げを食べる女性(2015年12月21日撮影)。(c)AFPBB News/Yoko Akiyoshi

 八王子の高尾山のすぐそばで育ち、自然や生き物との距離感は人より近かった。虫を採集したり、育てたりするのが好きで、その延長線上に虫を食べる行為があったという。しかし、虫を食べるという価値観や感じ方は周囲の人々に簡単に受け入れられるものではなく、最近まではひっそりと自分の趣味の範囲にとどめてきた。

 篠原さんが昆虫食の情報や経験を社会に向けて発信し始めたのは2年前。2013年5月に国連食糧農業機関(FAO)から昆虫食に関する報告書が提出され、昆虫食が日本社会でも徐々に注目を集める中、虫の魅力を伝えていくことに可能性を感じるようになった。調理方法も、見た目に抵抗を感じる人が食べられるよう、虫をだしやソースにするなど工夫を重ねた。

 

イナゴの素揚げを食べ、顔をしかめる参加者も(2015年12月21日撮影)。(c)AFPBB News/Yoko Akiyoshi

「勝手に虫はこう食べるのがおいしいと決めずに、色んな可能性とか色んなコラボとか、柔軟にやっていけたらなと思っている。和食や中華、フレンチをやってみたり、ラーメンを作ってみたり、枠を決めることなく、今は色々作ってみている感じです」

 最近では、都内の煮干しラーメン店「凪」や滋賀県の「la-men NIKKOU」とコラボしたり、自身で赤坂フードフェスに出店し、2日間でコオロギラーメン600杯を売り上げたりした実績もある。おいしいという感想や、虫に対するイメージが変わったという声も寄せられ、手応えを感じた。

 

寄せ鍋の具材として「牛鞭(ぎゅうびん)」と呼ばれる部位を参加者に見せる篠原祐太さん(2015年12月21日撮影)。(c)AFPBB News/Yoko Akiyoshi

「調理はいつもは本来の虫の味を楽しめるように、あまり手を加えずに、軽く素揚げしたり、せいぜい塩を振ったりする程度で作る方が多いですね。今回は虫や他の生き物を一緒にした鍋を作るってことで、虫もシンプルに素揚げしたり、そのままゆでたりして、一つの鍋に仕上げました」

 昆虫食を広めようと活動を始めると、誹謗(ひぼう)中傷を受けたり、疎遠になった人間関係もあった。それでも好きなものを好きと言い続けていくうち、次第に篠原さんの周りに人が集まっていた。

 

油で揚げられるアルゼンチンモリゴキブリ(2015年12月21日撮影)。(c)AFPBB News/Yoko Akiyoshi

 幼稚園や小学生らのママ友会に頼まれて、子供向けの昆虫食のワークショップを開くこともある。昆虫は観賞の対象にすぎないという自分の価値観に向き合ってほしいと願う。「虫さん、かわいそうじゃない?」という子供たちの反応が返ってくることもあるが、篠原さんは、あえて生きるもの、かわいそうだと感じるものを食べる経験に意義があるのだと伝える。現代の食産業ではみえてこない、「命」をいただいているという感覚だ。

 単なる「食べ物」や「虫」だけでは語れない、「生き物」の魅力を伝えようと奔走した2015年。来年も虫を使った日本食のコラボなど、様々な企画を控えているそうだ。(c)AFPBB News/Hiromi Tanoue

 

神奈川県の自宅で、東南アジア原産のサソリ「アジアフォレストスコーピオン」を手に乗せる篠原祐太さん(2015年12月21日撮影)。(c)AFPBB News/Yoko Akiyoshi
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