【12月22日 AFP】米食品医薬品局(FDA)は21日、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染拡大への懸念から生涯にわたって禁止していた、同性愛者の男性の献血を、最後の性交渉から12か月を経た場合に限って解除すると発表した。

 この決定により、米国はフランスやオーストラリアなど、ほかの先進国の方針と足並みをそろえることになる。これらの国々では近年、男性が同性と性的な関係を1年間持っていない場合に限り、献血を容認している。

 同禁止措置が発令されたのは、AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)が流行し始めたばかりの1983年。当時はこの病気について、まだほとんど解明されていなかったため、多くの専門家の間で輸血感染が懸念されていたが、今回、32年ぶりに献血方針が改定されることになった。

 FDAは声明で、性産業従事者や注射器による薬物使用者に関しては、「現時点で、現行の措置を改定するデータが十分にそろっていない」ため、献血を禁止する措置を今後も適用すると述べた。

 一方、男性同性愛者の権利を擁護する一部の医療関係者は、今回の措置は差別的で、HIVに関する汚名を固定化すると批判。

 現在の試験技術を使えば、献血された血液がHIVに感染しているかどうかはウイルスにさらされた時点から数週間以内に検査できるため、男性同性愛者に対する献血の猶予期間は30日間にするべきだと主張している。(c)AFP