【12月18日 AFP】英国人は歯に問題を抱えているという長年の固定観念を打ち砕く研究論文が17日、発表された。米国人と英国人の歯の健康状態を比較したところ、両者に大きな違いはなかったという。

 笑うと口元に黄ばんでゆがんだ歯がのぞく英国人のキャラクターは、米人気アニメ「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」から米コミック映画「オースティン・パワーズ(Austin Powers)」に至るまで、米国の本や映画、テレビで長年お決まりのジョークとなっている。

 しかし、論文を発表した英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)、コロンビア国立大学(National University of Colombia)、米ハーバード大学チャン公衆衛生大学院(Harvard University Chan School of Public Health)の研究者らは、「一般的なイメージに反し、米国人の歯の健康は英国人より良好とは限らない」と述べ、今回の研究結果を「オースティン・パワーズの反撃」と呼んだ。

 研究では、英米の25歳以上の男女数千人を対象に歯の健康調査を実施。その結果、欠損した歯の平均数は、英国が6.97本、米国が7.31本で、米国の方がやや多かった。

 こうした研究結果は、英メディアから喜びとともに受け止められた。

 英紙タイムズ(The Times)は、「笑顔になろう! 米国人の歯は、われわれのものより悪い」といった大見出しを掲げ、また英紙インディペンデント(Independent)は、「歯に関する米国の偏見に、我が国の歯科衛生が勝利」としている。

 さらに、英大衆紙サン(The Sun)は、「歯がぐらぐらしたり欠けたりしているとわれわれを馬鹿にするのは間違いだと、専門家らが米国人らに明言」と書いた。

 研究は、英国で2009年に行われた「成人口腔衛生調査(Adult Dental Health Survey)」と、2005~08年の「米全国健康・栄養調査(US National Health and Nutrition Examination Survey)」のデータを基に行われ、論文は、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された。(c)AFP