【12月17日 AFP】夫婦同姓を義務付けた日本の民法の規定が憲法違反にあたるかが争われた裁判で、最高裁大法廷は16日、夫婦同姓制度は合憲との判断を示した。規定は女性差別で時代遅れだと訴えてきた人々からは、批判の声が上がっている。

 一方、最高裁大法廷は、女性に離婚から6か月間再婚を禁止する民法規定が憲法に違反するかどうかが争われた裁判では、再婚禁止期間の100日を超える部分は違憲との判断を下した。

 最高裁は、技術が進んだ現在では親子関係の確認は可能であり、6か月の再婚禁止期間は長すぎると結論付けた。

 日本の民法は、封建的な家族制度が残る1898年に制定されたもの。当時は、女性と子どもは世帯主である男性に従属するとの考えが支配的だった。そうした家族制度は、日本が連合軍占領下にあった1948年に、戦後の民法改革で廃止された。しかし、女性の再婚と夫婦同姓の民法規定は残ったまま、現在に至っている。

 最高裁の寺田逸郎(Itsuro Terada)裁判長は、夫婦同姓については、結婚前の姓を通称として使用できる点を指摘し、「個人の尊厳と男女の平等」を害するものではなく憲法に違反しないと述べた。

 ただ、法律上は男性が妻の姓を名乗ることが可能でも、現実には、日本では既婚女性の96%が夫の姓を名乗っている。

 保守的な人々は、女性の再婚禁止と夫婦同姓の規定は共に、日本の伝統的な家族制度を維持するために不可欠だと擁護してきた。

 これに対し、規定の撤廃を求める人々は、100年以上前に制定されたこれらの規定は日本が依然として男性優位社会であることを反映し、他の先進国に遅れを取っていることを意味すると主張。最高裁が両規定とも違憲判断を下すと期待していた。(c)AFP/Harumi OZAWA