【12月15日 AFP】米バスケットボール協会(NBA)の審判歴18年で、サクラメント・キングス(Sacramento Kings)のレイジョン・ロンド(Rajon Rondo)から試合中に同性愛差別の侮辱的な発言を受けたビル・ケネディ(Bill Kennedy)氏が同性愛者であることを公表した。米Yahoo!スポーツ(Yahoo! Sports)が14日、報じた。

 今月3日にメキシコの首都メキシコ市(Mexico City)で行われたキングス対ボストン・セルティックス(Boston Celtics)戦で、ロンドはケネディ氏から2度のテクニカルファウルを取られて退場となり、怒りを募らせた。ケネディ氏を繰り返し侮蔑するなど口論を仕掛けたロンドは、11日に1試合の出場停止処分が科された。

 ケネディ氏はYahoo!スポーツに対して、「私はNBAの審判であること、そして同性愛者であることを誇りに思う」と明かし、「私は自我を認識している他者の足跡をたどることによって、スポーツ界の若い男女に対して、自分本来の姿を誰にも恥じることはないというメッセージを送ることになると期待している」と語った。

 一方、アダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーも、ケネディ氏を擁護する声明を出し、「私は、誇り高く正々堂々と人生を生きることにしたビルの決断を、心から支持する」とコメントした。

 49歳のケネディ氏は、NBAのレギュラーシーズンで計1056試合、ファイナル5試合を含めてプレーオフでは計68試合で審判を務めているほか、2010年のFIBAバスケットボール世界選手権(World Basketball Championships 2010)や、2012年のロンドン五輪でも笛を吹いた実績を持つ。

 NBAの審判で同性愛者であることを公表したのはケネディ氏が2人目。2014年にはヴァイオレット・パルマー(Violet Palmer )氏が、長年のパートナーと結婚して同様の告白を行っている。

 また、NBA審判協会(NBRA)の法務部門責任者であるリー・セハム(Lee Seham)氏は、他の審判員もケネディ氏を支持していると明かしている。

 ロンドは、今回の処分で15日のヒューストン・ロケッツ(Houston Rockets)戦に出られず、罰金8万6300ドル(約1000万円)も科されることになった。

 同性愛差別で処分を受けたNBAの選手はロンドで3人目となるが、出場停止となるのは今回が初めてとなる。

 2011年のプレーオフには、シカゴ・ブルズ(Chicago Bulls)のヨアキム・ノア(Joakim Noah)がファンに暴言を吐いて罰金5万ドル(約600万円)、同年にはロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)のコービー・ブライアント(Kobe Bryant)が審判に同性愛差別の言葉を浴びせて罰金10万ドル(約1200万円)を科されており、両選手は後日自身の発言について謝罪している。(c)AFP