【12月15日 AFP】フランス・パリ(Paris)で先月起きた同時テロ事件と、米カリフォルニア(California)州で今月起きた銃乱射事件を受けて、米国では自己防衛への意識が高まり、銃の売り上げ増加に拍車がかかっている。中には議会が銃規制を強化した場合に備え、買いだめをしている例もあるようだ。

 カリフォルニア州サンバーナーディーノ(San Bernardino)では今月2日、イスラム教徒の夫婦が起こした銃乱射事件で14人が死亡、22人が負傷した。この事件以来、ニュージャージー(New Jersey)州にある米北東部でも有数の規模の射撃場「RTSP」では、売り上げが50%の伸びをみせている。

 また同州ジャージーシティ(Jersey City)にある銃販売店「Gun-A-Rama」でも売り上げは急増している。同店の店長、リサ・カーソ(Lisa Caso)氏は、銃規制法の強化に関する政治家たちの発言に人々が神経質になっているためだと話した。

 米銃器メーカー大手、スミス&ウェッソン(Smith and Wesson)のP・ジェームズ・デブニー(P. James Debney)最高経営責任者(CEO)は先週、最新の四半期業績報告で投資家らに対し「消費者市場における拳銃部門の成長に長期的な持続傾向がみられる」と語った。パリとカリフォルニアの銃撃事件よりも前の8~10月にかけて、売上はすでに32%増となっていたため、同社では会計年度通期の利益目標を引き上げていた。

 こうした傾向と一致するのが、米アルコール・たばこ・銃器取締局(ATF)が発表した統計で、これによると1998から2013年までの間に、米国で製造された拳銃の数は4倍に増えていた。また銃の購入者の身元照会を行っている米連邦捜査局(FBI)のデータによれば、今年の銃の販売数は記録を更新しそうだ。

 スイスに拠点を置く独立系調査機関がまとめた「小型武器実態調査(Small Arms Survey)」によると、人口約3億2200万人の米国内では、2億7000万丁の銃器が出回っているという。(c)AFP/Thomas URBAIN