【12月14日 AFP】南米コロンビアの沖合で18世紀に沈没した船に積まれていた数十億ドルの金銀をめぐり、スペインと元植民地のコロンビアとの間で所有権争いが起きている──。

 対立の元となっているのは、財宝船「サンホセ(San Jose)号」。カリブ海の旧港都市カルタヘナ(Cartagena)沖で最近、コロンビアがその沈没地点を特定していた。

 スペイン継承戦争(Spanish Succession)さなかの1708年6月、船を奪おうとする英艦隊との戦闘の末、同船はコロンビアのカリブ沖にあるロサリオ諸島(Islas del Rosario)近くの海に沈んだのだという。

 サンホセ号は、アメリカ大陸の植民地から財宝をスペイン王フェリペ5世(Philip V)のために運ぶ船団の主船だった。金や銀は、ペルーやボリビアの、スペインが植民地支配した鉱山から採掘されたとみられる。

 フアン・マヌエル・サントス(Juan Manuel Santos)大統領は今月初め、専門家らが今まで捜索されていなかった場所でサンホセ号を11月27日に見つけたと発表。その後、推定価値20億ドル(約2400億円)ともされる財宝の所有権について注目が集まっていた。 

 スペインのホセ・マヌエル・ガルシアマルガリョ(Jose Manuel Garcia-Margallo)外相は12日、コロンビアのマリア・アンヘラ・オルギン(María Angel Holguin)外相とカタルヘナで会見し、見つかった財宝の法的な所有権について意見の相違があると述べた。

 スペインは、国連(UN)の海洋法を主張の根拠の一部としているが、コロンビアは当該条約に署名していないため、その規約に縛られることはない。

 スペインの同外相は、両国間の良好な関係を挙げながら「理解への工程表」が形成されることを願っている」としたのに対し、コロンビアの外相も「この問題で両国の間に亀裂が生じるようなことはない」と強調。ただ、法的な所有権をめぐる意見の相違があることは認めた。

 発見された財宝の価値は、少なくとも20億ドルと推定されるが、米国を拠点とするシー・サーチ・アマルダ(Sea Search Armada)社によると、銀の価格下落により、その価値は相当下がっているという。(c)AFP