【12月11日 AFP】インフランド・フットボールリーグ1(3部)、ポート・ベイル(Port Vale)のノーマン・スワースウェイト(Norman Smurthwaite)会長は10日、サポーターから人種差別を受ける恐れがあるとして、ジミー・フロイト・ハッセルバインク(Jimmy Floyd Hasselbaink)氏を監督に招へいしない判断を下したと明かした。

 先週クイーンズ・パーク・レンジャーズ(Queens Park RangersQPR)の監督に就任した黒人のハッセルバインク氏は、昨年ポート・ベイルの指揮官候補に名前が挙がっていたが、クラブのファンが関わった人種差別的な出来事の記憶が、会長を思いとどまらせた。

 スマースウェイト会長は地元紙ストーク・センティネル(Stoke Sentinel)に対し、「クラブにあった人種差別的な問題により、彼を招へいしなかった。彼にとってふさわしいクラブだと思わなかった」と語った。クラブの広報担当もAFPに対し、この件を認めている。

「もし成績が伴わなかった場合、通常のやじに加えて、哀れな彼がののしられることを想像できるか?間違いなく彼はこのクラブにふさわしい人物だったろうが、クラブが彼に適していなかった」

「われわれの99パーセントのファンは素晴らしいが、ほんの一握りが警察沙汰や問題をわれわれに突きつけるんだ」

 イングランド(England)中部のストークオントレント(Stoke-on-Trent)に本拠を構えるポートベイルは、2013年に行われたブラッドフォード・シティ(Bradford City)とのホームゲームの試合中に起きた人種差別的なチャントに関する捜査を受け、イングランドサッカー協会(FA)から警告を受けていた。

 元ポート・ベイルの選手は2011年、敗戦後に「個人的で人種的な」暴言を受けたことを明かしている。

 アトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)やチェルシー(Chelsea)でプレーしたハッセルバインク氏は、2014年11月にバートン・アルビオン(Burton Albion)の指揮官に任命され、1年目でクラブを同フットボールリーグ2(4部)に昇格させた。

 イングランド・フットボールリーグを構成する92クラブのうち、黒人および少数民族出身者の指揮官はハッセルバインク氏を含めわずか4人となっている。

 ポート・ベイルのファンはクラブ会長のコメントに失望感をあらわにしている。

 サポータークラブ代表のアリー・シムコック(Ally Simcock)氏は、「彼の言葉にショックを受けている。クラブには人種差別的な問題があったが、他のどのクラブよりもひどいということはない」とコメントした。

「人種的、差別的な問題を引き起こそうとしている一握りのファンがいて、それが今回のことにつながっている。とはいえ、黒人監督をクラブに呼ぶことが間違っているとは思わない」

(c)AFP