■「変な実験はしていない」

 許氏は今のところ、世界初の「クローン牛肉」を提供することを目的にしている。神戸牛と同じ味のする遺伝子的に同一な「スーパー肉牛」をつくり、食肉業者らが「畜殺を減らし、生産量を増やす」ことによって中国の急増する中間層の需要を満たすことができるようになると約束している。

 クローン技術は遺伝子組み換えとは違うが、その技術を動物に適用することにより、すべて同じものを生産することができる。

 クローン牛を人間が食べても安全かどうかについては、意見が分かれている。米食品医薬品局(FDA)は安全だとしているが、欧州議会はクローン食品の流通禁止を支持している。一方、国連食糧農業機関(FAO)は、まだ調査を行っていない段階だ。

 中国農業科学院(Chinese Academy of Agricultural Sciences)で遺伝子組み換えの安全性を専門とするHan Lanzhi氏は、工場運営の安全性や見通し、行程に関するボヤライフの主張は、憂慮すべきかつ信じがたいものだと警鐘を鳴らす。「企業は自社の利益を追求するものだから、厳格な規制がなくてはならない。将来、簡単に違うことをやりだす可能性がある」

 一方の許氏は、AFPの取材に対し、こうした懸念を打ち消し、「私たちは人々に、クローン技術はそんなに狂ったものではない、科学者は変人ではない、白衣を着て密室に隠れ変な実験をしているのではないということを理解してほしい」と語った。(c)AFP/Rebecca DAVIS