【11月30日 AFP】18日に亡くなったラグビー元ニュージーランド代表のジョナ・ロムー(Jonah Lomu)氏の追悼式典が30日、同国ラグビーの聖地イーデン・パーク(Eden Park)で催され、オールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)の元チームメートが敬意を表し、力強いハカ(Haka)を披露した。

 ロムー氏が納まったひつぎが霊きゅう車へ運ばれる際に、バック・シェルフォード(Buck Shelford)氏をはじめとする20人以上のオールブラックスの元選手が「カ・マテ(Ka Mate)」を踊った。

 ロムー氏が選手として圧倒的な存在感を発揮したフィールドの上で行われた式典には、タナ・ウマガ(Tana Umaga)氏やジャスティン・マーシャル(Justin Marshall)氏、ジョン・カーワン(John Kirwan)氏といった元オールブラックスの選手も参加した。

 スタジアムにニュージーランド先住民マオリ(Maori)の哀悼の歌声が響くなか、ひつぎは選手がフィールドに出るための通路を通り、タトゥーをした戦士たちに迎え入れられると、妻のナデネ(Nadene)さん、そしてロムー氏の背番号11が記された黒いシャツに身を包んだ2人の息子、6歳のブレイリー(Brayley)ちゃんと5歳のディレイル(Dhyreille)ちゃんがこれに続いた。

 元ニュージーランド代表のヘッドコーチ(HC)、ジョン・ハート(John Hart)氏は、「ジョナ、君はフィールド上ではすさまじく、その外では紳士で、心遣いのできる大男だった」とスピーチした。

 ニュージーランドで愛される存在だったロムー氏にはそのプレーぶりを見るには幼すぎたファンも多く、追悼式典の模様は国内の主要テレビ局のすべてが中継した。

 6度テストマッチを行い、そのうち5度勝利を収めているイーデン・パークはロムー氏にとっての天国だった。

 ハート氏は、ロムー氏に別れを告げるためにイーデン・パーク以上に適した場所はないと語った。

「イーデン・パークを選んだのは、ラグビーの気高い場所であり、ジョナが愛した場所だからです」

 ワールドラグビー(World Rugby)のベルナール・ラパセ(Bernard Lapasset)会長もフランスからはるばる式典に参加し、ラグビーにプロ時代をもたらしたロムー氏への敬意を表した。

「彼はラグビー界の象徴である。私は、ジョナを愛する世界中のすべてのファンの代表となるべきだ。この素晴らしき男は、世界に向けてラグビーの非常に大切なメッセージを届けた。それまで見たこともなかったランニング・ラグビーでディフェンスを恐れさせ、観客を魅了した」

 7人制ラグビーでチームメートだったエリック・ラッシュ(Eric Rush)氏は、ロムー氏の底なしの食欲や練習嫌いの側面を冗談めかしたが、友人を思い声を詰まらせた。

「大男がいなくなって寂しくなる。兄弟よ、安らかに眠れ」

 12月1日には、密葬が営まれる予定となっている。(c)AFP/Michael Bradley