【11月29日 AFP】ボクシング、IBF・WBA・WBOヘビー級タイトルマッチ12回戦が28日、独デュッセルドルフ(Dusseldorf)で行われ、挑戦者のタイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)が判定で王者ウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)を破り、新チャンピオンに輝いた。

 27歳のフューリーが115-112、115-112、116-111で勝利を収めた一方で、クリチコが敗戦を喫したのは、2004年のレイモン・ブリュースター(Lamon Brewster)戦以来、約11年ぶりとなる。

 試合後、新王者のフューリーは自身の勝利を祝い、ロックバンド「エアロスミス(Aerosmith)」の『Don't Want to Miss a Thing(ミス・ア・シング)』をリング上で歌った。

「勝利を与えてくださった主とイエス・キリストに感謝したい。この瞬間のために毎日努力してきた。夢がかなった」と涙を流しながら語るフューリーは、 これで通算戦績を25戦全勝としている。

 一方、通算4敗目を喫したクリチコは、試合の契約には再戦に関する条項が含まれていると明かした。そして、206センチの長身を誇るフューリーのスピードは想定外だったことを認めている。

「良い準備はできていたが、今日はスピードが足りなかった。あそこまで速いとは予想していなかった。終盤には、ノックアウトしか勝つ方法がないことはわかっていた」

 2016年に40歳となるクリチコだが、引退に関しては、現時点で話すのは時期尚早とコメントを控えている。

 フューリーは試合前から、「ベルトはすべて俺がいただく」と歌でクリチコを挑発し、また自身の勝利に20万ポンド(約3600万円)を賭けるなど、クリチコを王座から引きずりおろすことに自信を見せていたが、見事にそれを現実のものとした。

 クリチコのふくらはぎの負傷のため、10月開催の予定から延期されて行われた今回の試合は、フューリー側がグローブが合わないと主張するなど、試合前から神経戦がヒートアップしていた。

 そしてこの日も、フューリー陣営はキャンバスの張りが緩いと不満を訴え、激しい議論の末に出場を拒否するとまで言い出した。結局はクリチコ陣営が折れ、キャンバスの下の緩衝材が一部外されることになった。

 また、クリチコがオブザーバーのいないところでバンデージを巻くという違反を犯していたとの報道が出ると、フューリー陣営はこれに対しても異議を唱え、クリチコが巻き直しを余儀なくされた結果、試合開始が若干遅れた。(c)AFP