【11月27日 AFP】2016年米大統領選挙の共和党の候補者指名を争う不動産王ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(69)は26日、選挙演説中に障害のある米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)記者の腕の動きをまねてからかったとの批判について、同記者のことは知りもしなかったとして否定した。

 トランプ氏は今週、2001年9月11日に起きた米同時多発テロをアラブ系米国人らが祝っていたと発言して物議を醸したばかりだが、米サウスカロライナ(South Carolina)州で今月24日に行った演説でこの主張を繰り返した際、新たな論争を巻き起こした。

 演説の映像でトランプ氏は、ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)受賞歴があり、手足の動きに支障が出る先天性関節拘縮症を患っているサージ・コバレスキー(Serge Kovaleski)記者の資質を疑問視するような発言をしている。

 トランプ氏はコバレスキー記者が同時多発テロの数日後に執筆した記事について回想した際の様子をこき下ろし、「哀れなこの男の様子は必見だ。『あー、自分が何を言ったのか覚えていない。記憶がない!』」とまくしたてながら、腕を体の前に突き出し顔をゆがめて、同記者の物まねとみられるしぐさを見せた。

 だが、これまでの選挙運動中でも米メディアに対する軽蔑をあらわにしてきたトランプ氏は、コバレスキー記者の病気をからかったことを否定するとともに、「破綻に向かっている」NYT紙からの謝罪を要求した。

 トランプ氏は、ツイッター(Twitter)に同紙を攻撃するコメントを次々と投稿するとともに、強い語気の言葉を連ねた声明を発表し、「私が仮にサージ・コバレスキー氏と面識があったとしても──ないと思うが──、私が数十年間も自分のことを覚えていると思っているなんて、よほど自信があるに違いない」「目立つために自身の障害を利用するのはやめて、急速に破綻に向かっている新聞社のための報道に徹するべきだ」と批判した。

 一方、コバレスキー記者がかつて働いていた米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、同記者はトランプ氏が自分やその障害について知っていたのは確かだと語っている。(c)AFP