【11月26日 AFP】岐阜県にある関善光寺(Seki-Zenkoji)が所蔵する金色の仏像が新たに、異例の注目を集めている。参拝に訪れているのは熱狂的なラグビーファン。というのも、この仏像の印相が、ラグビーW杯イングランド大会(Rugby World Cup 2015)の活躍で国民的英雄となった五郎丸歩(Ayumu Goromaru)のキック前のポーズに似ているとのことで、参拝客が殺到している。

 熱心なファンのお目当ては、高さ約3メートルの「宝冠大日如来像」。両手の人差し指を立て、その先を合わせる形で手を組んでおり、確かに五郎丸のトレードマークとなったキック前の手の形に酷似している。

 突如としてスポーツファンの祈願所となった関善光寺では、参拝者の数がこれまでの5倍に急増。佐藤舜海(Shunkai Sato)住職はAFPに対し、「週末には、1000人以上の方が参拝にいらっしゃいます」と話している。

 五郎丸は、W杯の南アフリカ戦で24点を記録。W杯史上最大と言われる番狂わせを演出し、チームの歴史的な勝利に大きく貢献した。

 その五郎丸といえば、ペナルティーやコンバージョンキックの前の「ルーティン」。今ではラグビーファンはもちろん、全国の子どもが五郎丸のポーズのまねをするほどの広がりを見せている。

 佐藤住職は、寺の大日如来像が人気スポーツ選手と結びつけられる日が来るとは、夢にも思わなかったそうだ。それでも、18世紀建立の関善光寺に関心が集まることを、住職は歓迎している。

「ここへ来ることで、多くの方が仏教やお釈迦さんにより親しんでいただけるのであれば、良いことだと思います」

 大日如来像がこうした印相を結ぶことは通常はないらしく、佐藤住職も「こうした大日如来像は非常に珍しいですね。私もほかでは見たことがありません」と話している。

 この大日如来像は中国から海を渡ってきたものだというが、佐藤住職によれば、詳しい来歴は不明だそうだ。(c)AFP