【11月25日 AFP】中国北部・天津(Tianjin)市で、世界最大の動物クローン工場の建設が進められている。国営・新華社(Xinhua)通信の24日の報道によれば、犬、馬をはじめ、年間最大100万頭の肉牛を大量生産する計画で、インターネット上の世論や科学界に懸念が広がっている。

 2億人民元(約38億円)が投じられる施設には、クローン実験室や遺伝子バンクなども含まれるという。

 同工場を設立するのは、中国のバイオテクノロジー企業「博雅幹細胞(ボヤライフ、Boyalife)」と韓国のスアム生命工学研究院(Sooam Biotech Research Foundation)、さらに中国の二つの研究機関。スアム生命工学研究院の創業者は10年前、ヒトのクローン胚を作り出すことに成功したと主張して物議を醸している。

 今回設立される動物クローン工場では、ペットや警察犬、競走馬、畜牛などをクローンで作り、商業規模で市場に流通する予定だという。

 新華社通信が伝えた許曉椿(Xu Xiaochun)ボヤライフ会長の発言によると、工場は来年稼働を開始し、当初の肉牛のクローン胚作製は年間10万頭分で、その後、100万頭まで増やす計画だ。

 しかし、ソーシャルメディア上ではユーザーらが、クローンで作られた食肉を消費者が食べたがるだろうかと疑問を呈している。また同工場近隣には、今年8月に少なくとも165人が死亡する化学爆発が起きた地区がある。さらに中国の食品の安全性基準の問題を指摘する声も上がっている。

 あるユーザーは「この肉は韓国や中国で販売されるのだろうか。中国で販売されるのならば、最初にわが国の指導者たちに食べてもらいたい」と投稿している。

 AFPの取材に応じた中国農業大学(China Agricultural University)のズー・イー(Zhu Yi)食品科学部教授は、クローン牛と本物の牛の間に「違いはほとんどない」と思われるが、企業は「厳しいリスク評価を行い、実験を繰り返し行わない限り」クローン肉を性急に消費者に提供するべきではないと述べた。(c)AFP/Rebecca DAVIS