【11月20日 AFP】エジプト上空でのロシア旅客機墜落、フランス・パリ(Paris)の同時多発テロと、フランスとロシアが相次いでイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の標的となったことで、両国は対ISでの連携を表明。団結した仏露の政治的努力によってシリア危機も解決に向かうのではとの期待が出ている。だが、その一方で、専門家らは空爆の強化という手段に疑問を呈している。

 ある仏政府高官はAFPに、パリでの事件によって、ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)に対するより戦略的な攻撃を行うための国際的な連携が加速するだろうとの見方を語った。具体的には、ISの資金の鍵となっている石油施設や輸送ルートに空爆を集中させるなど、より大きな打撃を与える標的を攻撃する見通しだという。

 だが、経済活動拠点を空爆の標的としても、ISの戦闘能力の著しい低下にはつながらない上、多くの地元住民がIS側につくことになりかねないと、ISに関する著書のあるハサン・ハサン(Hassan Hassan)氏は語った。さらに「(IS掌握地域の)住民は日々の生活を石油に依存している。それを彼らから奪ってしまったら、残された選択肢は逃げ出して難民になるか、ISに加わるしかない。住民たちも収入源が必要なのだ」と同氏は話した。

 空爆を強化すれば、民間人が巻き込まれて死亡する確率も高くなり、悲嘆にくれてIS支持に転じる人も増加する。(c)AFP/Eric Randolph、Valerie Leroux