【11月19日 AFP】13日にフランス・パリ(Paris)で起きた同時テロ事件の犠牲者たちは、人生の盛りに突如、その命を絶たれた。妊娠中の妻を、将来有望なキャリアを、そして、自らを犠牲にしてまで救おうとした友人たちを残し、この世を去ったのだ。

 事件では、イスラム過激派の襲撃犯らが、学生や弁護士など、あらゆる身分の人々の命を奪った。犠牲者の出身地は十数か国に上り、その大半は20~30代だった。

 フランソワ・オランド(Francois Hollande)仏大統領は16日、議会での演説で「犯人たちが殺したかったフランスは、多種多様な若者たちだった。死者の大半が30歳未満だった」「彼らの罪とは何だったのか?生きていたことだ」と語った。

 犠牲者の中には、コンサートホール「バタクラン(Bataclan)」で開催された米バンド「イーグルス・オブ・デス・メタル(Eagles of Death Metal)」のライブを見にきていたチリ人のエルサ・デルプラス(Elsa Delplace)さん(35)がいた。一緒に来ていた同じくチリ人の61歳の母親も殺されたが、5歳の息子は脱出することができた。

 バタクランではほかに、ニコラ・カティナ(Nicolas Catinat)さん(37)が、自分の体を盾にして友人を銃撃から守ろうとして死亡した。

 また、イーグルス・オブ・デス・メタルのグッズ販売をしていて殺された英国人のニック・アレクサンダー(Nick Alexander)さん(36)について、家族は「みんなの親友で、寛大で面白く、とても誠実な人だった」との追悼の声明を発表した。

 アレクサンダーさんが亡くなったときコンサート会場で一緒だったヘレン・ウィルソン(Helen Wilson)さんは、「彼はもう息ができなくなり、私は彼を抱きしめて、愛していると伝えた」と英紙テレグラフ(Telegraph)に語った。