【11月24日 AFP】フランス北西部ペイ・ド・ラ・ロワール(Pays de Loire)地方のマイエンヌ(Mayenne)で農場を経営するマリー・フランソワーズ・ブリザールさんは、温室効果のあるメタンガスを含む牛のおならやげっぷの削減に取り組んでいる。メタンガスの温室効果は、二酸化炭素の約20倍と考えられている。

 牛40頭を飼育するブリザールさんの農場では、今年これまでに二酸化炭素換算で32トンのメタン削減を実現した。これは車を47万キロメートル走らせた時に排出される二酸化炭素の量に等しい。

 メタン削減の秘訣は飼料の原料にある。ここでは、トウモロコシや大豆などの穀物の割合を減らし、牧草の割合を多くしている。牛が排出するメタンガスはゲップに含まれるものが大半だが、おならからも発生する。

 世界全体の温室効果ガス排出量のうち、農業分野が占める割合は20%とされ、うち40%はメタンが占める。

 11月30日からパリ(Paris)で始まる国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)では新たな温暖化対策の枠組み合意を目指す。

 ブリザールさんの夫のリュックさんは牧草の播種を担当している。牧草は穀物飼料の代わりに、タンパク質が豊富なアルファルファなどを育てている。

 フランスの農場で使用される飼料の20%は、産業用としても用いられるトウモロコシや大豆が原料となっているが、ブリザールさんの農場では乾燥させたアルファルファを使うことで、冬の間もこうした飼料に頼ることなく牛を飼育することができる。また農場で栽培しているアマニ(亜麻仁)も飼料に加えることで、栄養の補助もしている。

 アルファルファのようなマメ科植物や、アマニ、大豆などの油糧種子が配合された飼料で育った牛の乳は、オメガ3系脂肪酸を豊富に含む。オメガ3系脂肪酸は人間の健康に良い効果をもたらすといわれるほか、牛の胃の中にあるメタン生成菌を抑えるとされており、メタンガス排出の削減も期待できる。さらに、窒素固定能力を持つアルファルファによって、牧草地の土壌改善も期待できる。