【11月13日 AFP】米ユタ(Utah)州の判事が、レズビアン(女性同性愛者)のカップルに対し、子どもは異性愛夫婦の家庭で育てられるべきとの理由で、養子にした赤ちゃんを手放すよう命じた。この決定を受け、同性愛者の人権団体などからは怒りの声が上がっている。

 養子の返還を命じられたのは、同州在住のエープリル・ホーグランド(April Hoagland)さんとベッキー・ピアース(Beckie Peirce)さん。2人はすでにピアースさんの実子2人を共同で養育していたが、今年の夏に米連邦最高裁判所が全米で同性婚を合法化したことを受け、里親の資格を得た。

 だが2人によると、10日に同州プライス(Price)の少年裁判所で開かれた養子縁組手続きに関する定例審問で、1歳の養女を1週間以内に引き渡すよう、スコット・ヨハンソン(Scott Johansen)判事により命じられた。

 同判事はこの決定の根拠として、「子どもは異性愛の家庭で育つ方が良いことを示す研究結果」に言及したものの、この研究の詳細に関する説明はなかったという。

 同性愛者の人権団体は、この決定を厳しく批判している。「イクオリティー・ユタ(Equality Utah)」のディレクター、トロイ・ウィリアムズ(Troy Williams)氏はAFPに対し、赤ちゃんの実の母親や、地元当局の児童福祉課もこの養子縁組に賛成していることから、今回の決定には一層当惑していると語った。

 ホーグランドさんとピアースさんは決定の取り消しを求めて上訴する予定で、弁護士を雇ったという。(c)AFP