【11月7日 AFP】在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は6日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、今夏シリア北部でマスタードガスを使用したと述べた。化学兵器禁止機関(OPCW)は、アレッポ(Aleppo)県マレア(Marea)における戦闘で使用された毒ガスがマスタードガスであることを確認していた。

 OPCWの事実調査委員会がまとめた報告書によると、今年8月21日に発生したマレアでのマスタードガス攻撃によって幼児1人が死亡した可能性が「非常に高い」という。OPCWはマスタードガスを使用したのは国家ではない組織だと報告した。活動家や監視団体はマスタードガス使用がISによるものであることは明らかだと指摘している。

 アブドル・ラフマン代表は、「ISは8月にマレアで毒ガスを使用した」と語り、同組織がマスタードガスをトルコあるいはイラクを経由して入手した可能性が高いと指摘した。また、攻撃の際にマレアにいた記者は、「砲弾は全てマレアの東方向にあるIS支配地域から飛んできていた。ISの仕業だ」と話した。ISはトルコからシリアへの補給路を断つため、数か月間にわたりマレアを攻撃しているという。

 マレア近郊で野戦医院を運営する国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」も、同市で「化学物質にさらされた症状を示した民間人一家4人の治療に当たったと発表した。マレアの住民はMSFに対し、迫撃砲が自宅を直撃し、「黄色いガス」を見たと話している。(c)AFP/Inès BEL AIBA/Rouba EL HUSSEINI