■消えた献金

 ヌッツィ氏は、世界各地のカトリック信者が数百年の伝統を持つ「聖ペトロの献金(Peter's Pence)」という献金制度を通じてバチカンに寄せた献金のうちの6割がローマ法王庁の赤字の補てんに使われていたことが、COSEAの調査により分かったと指摘している。また、2割は既に4億ユーロ(約530億円)もの大金が預けられている準備金口座に回されており、本来の目的である慈善活動のために法王が受け取るのは残りのわずか2割だという。

 今週発刊されたエミリアーノ・フィッティパルディ(Emiliano Fittipaldi)氏の著書も、「聖ペトロの献金」について同様の指摘をしている。これによれば、2013年の同制度での献金総額は3億7800万ユーロ(約500億円)にのぼる。

 バチカン広報官は4日、2冊の新刊本で暴露された内容を「昔のことであり、偏ったもの」と切り捨て、提起された問題の多くが、フランシスコ法王の改革によって既に対処済みであると主張した。

 バチカンは先週末、機密文書を盗んで漏えいした疑いでイタリア人の広報専門家フランチェスカ・シャウキ(Francesca Chaouqui)容疑者とスペイン人の高位聖職者ルシオ・アンヘル・バリェホ・バルダ(Lucio Angel Vallejo Balda)容疑者を逮捕していた。バチカンの当局者らは、2人がフランシスコ法王を盗聴していたと明言はしていないが、2人がヌッツィ、フィッティパルディ両氏の新刊本に関与していたことをほのめかしている。(c)AFP/Angus MACKINNON