■法のグレーゾーン

 イタリアのマフィアや中国の三合会といった他国の組織と異なり、暴力団は長年、日本社会特有のグレーゾーンを占めてきた。組織は違法ではなく、各団体の本部は警察からはっきり分かる状態で存在している。

 しかし警察庁組織犯罪対策部で情報官を務める親家和仁(Kazuhito Shinka)氏は、「これまで取り締まりを行うことができなかった行為に対して規制をかけていこうというものであって、決して法的な存在として認めてそれを保護しようというものではない」と、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、いわゆる暴力団対策法について述べた。

 暴力団排除条例の強化も相まって「しのぎ」は厳しくなり、企業との間での取引も禁じられ、暴力団は銀行口座の開設や事務所での郵便物の受け取りさえもままならない状況にある。こうした変化から、長年払い続けたみかじめ料を奪還しようと暴力団を相手取り、企業が訴訟を起こす例もわずかながら出てきた。

 21歳で暴力団の一員となった竹垣氏は、獄中で受け取ったという、他界した4代目山口組組長からの「懐の深い」手紙を今も持っていると話す。竹垣氏は、かつて「やくざ」を象徴していた仁義や兄弟分の契りといったものは消えて久しいと述べ、そして、「今の時代はやっぱり義理とか人情よりも、お金で動くような、そういう感じがあるね。この分裂を機会に(構成員は)暴力団から離脱して、かたぎとしてやってもらいたいですわね」とAFPの取材に語った。(c)AFP/Harumi OZAWA