【11月9日 AFP】飼育舎に押し込めた鶏ではなく、放し飼いの鶏に産ませた鶏卵への切り替えを、米ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)が発表した。他にも「いかがわしい」原材料の使用を禁止したり、ジャンクフードの代わりによりヘルシーな選択肢を徐々に増やすスーパーマーケットなどの動きが米国で広がっている。米国はついに何十年も続けてきた加工食品との「熱愛」関係を断ち切る覚悟を決めたのだろうか。

 添加物だらけのスナックから工場式畜産で生産された肉まで、不健康だったり非倫理的だとみなされたりしている食品の排除に米国の食品会社やレストランチェーンが軒並み動いている。専門家らは、こういった動きが強力な風潮になっているとみている。

 高級住宅街には以前から、直産市場や有機栽培(オーガニック)食品の惣菜店などが点在していた。しかし今では全米の消費者がこぞって、遺伝子組み換え作物(GMO)や添加物、あるいは体に悪そうな物が含まれていない「健康志向」や「自然派」をうたう商品に傾きつつある。

 先に一部の商品について、マーガリンから「本物」のバターへの切り替えを表明していたマクドナルドは先月、同社で使用する卵について今後10年以内に「より倫理的な方法で生産されている卵」に切り替えていく方針を発表した。食品大手ケロッグ(Kellogg's)も、シリアルへの人工香料や合成着色料の使用中止を計画している。また「リッツ(Ritz)」クラッカーや「オレオ(Oreo)」クッキーを製造するモンデリーズ(Mondelez)も、2020年までに商品の半数をいわゆる「ヘルシースナック」にするという目標を掲げている。

 マクドナルドの元最高マーケティング責任者(CMO)で、現在はブランド・マネジメント・コンサルティング会社の最高経営責任者(CEO)を務めるラリー・ライト(Larry Light)氏は「これまではニッチ市場の中でも周縁的な問題だったテーマが、今では主流を占める欲求になっている」と話している。