【11月3日 AFP】国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士らが搭乗して地球軌道の周回飛行を開始してから、2日で15年が経過した。地球の周回軌道に乗る宇宙実験室、ISSにとってのこの節目は、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞に値するとの声も上がっている。

 今後10年間の運用継続が見込まれることを受け、世界各国の宇宙機関は現在、恐らく火星への有人飛行を見据えて、さらに遠方への探査ミッションの厳しさに、未来の宇宙の開拓者たちがどの程度耐えられるかに関するデータを、この前哨基地が提供してくれることを期待している。

■船長が考える最も重要な実験とは

 米航空宇宙局(NASA)のスコット・ケリー(Scott Kelly)飛行士(ISS船長)は、継続滞在15年を記念して開かれたISS乗組員による生中継の記者会見で「ここでは数多くの実験が行われているが、中でも最も重要な実験は、人間を長期にわたり宇宙で生存させ続ける軌道周回中の輸送船としてISSを使用することだと思う」と語った。

 ケリー飛行士は、ロシアのミハイル・コルネンコ(Mikhail Kornienko)飛行士とともに、長期に及ぶ宇宙飛行が身体と精神に与える影響を科学的に調査するため、ISSで1年間にわたる長期滞在を実行中だ。

 火星への飛行は数年間を要する可能性が高いため、有害な宇宙線に対する懸念の他、宇宙飛行士に対して長期にわたってどのように栄養を供給するかや精神の健全性を維持するかなどの問題が浮上する。

 NASAのチェル・リングリン(Kjell Lindgren)飛行士は、記者会見で「ISSは本当に橋渡しになる」として「火星旅行を成功させるために開発・理解が不可欠な技術の試験台となる」と語った。

 ISSでは2000年11月2日の運用開始以来、米国とロシアの主導の下で世界16か国が参加、各国の精鋭宇宙飛行士220人あまりが交代制で滞在、研究を続けてきた。