【11月2日 AFP】エジプト・シナイ半島(Sinai Peninsula)で先月31日に墜落し、乗客乗員224人全員が死亡したロシア旅客機について、航空専門家らは、墜落の経緯を説明するさまざまなシナリオを指摘している。

 ロシアの国家間航空委員会(Interstate Aviation Committee)のビクトル・ソロチェンコ(Viktor Sorochenko)氏によると、機体は「空中分解」したとみられる。エジプトで活動するイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の傘下組織は、同機を墜落させたと主張しているが、エジプト、ロシアの両国政府はこの主張を疑問視している。

 航空専門家への取材から分かった主な内容を、Q&A形式でまとめた。

■墜落現場の写真から分かることは何か

 ジャンポール・トロアデク(Jean-Paul Troadec)元フランス航空事故調査局(BEA)局長は、「写真からは、攻撃と事故の両方の可能性が残っていることが分かる。どちらの説がより妥当であるかについては、機体の残骸の調査とフライトレコーダーの分析によってすぐに判明するだろう」と指摘する。

■残骸から何が分かるか

「攻撃だった場合、残骸の分散状況で説明できる場合もあるが、残骸自体が一番重要だ。爆発の痕跡が残っている場合や、(爆風で)機体内部がさらけ出された状態ならば、爆弾が存在した可能性が示されるかもしれない。これが仮説の一つだが、一方で技術的な問題の可能性も排除はできない。小さな残骸の破片はないことから、垂直降下はしなかったことが示唆される」(トロアデク氏)

■機体が空中分解した場合、何が原因だったのか

 航空専門家のロベルト・ガラン(Robert Galan)氏は、致命的な技術上の欠陥が原因である可能性を指摘。「攻撃が原因でなくとも、機体が地面に到達する前に空中分解してしまったり、飛行中に重大な問題を起きたりする原因はいくつか考えられる。例えば、エンジンの爆発や、積み荷の移動などだ」と説明している。ただ、機体内部の欠陥が爆発につながることは非常にまれだという。