■「過小評価された芸術」

 急成長を続けている世界のゲーム市場は、その規模を900億ドル(約10兆8700億円)超と推定されている。ビンテージゲーム市場がその中で占める割合はまだ非常に小さいが、熱狂的なコレクターたちは特別なアイテムに大金を惜しみなくつぎ込む。

 レアな名作の価格は急上昇している。競売サイト「イーベイ(eBay)」によれば、任天堂の公式ゲーム大会「任天堂ワールド・チャンピオンシップ(Nintendo World Championships)」で使用されたカートリッジは昨年、約10万ドル(約1200万円)の高値で取引された。

 ソフトの価値は希少性や製品の状態、人気の度合いで決まる。専門家によれば、特に人気が高いのはシリーズもので、「ゼルダの伝説」や、「ファイナル・ファンタジー(Final Fantasy)」、「ドラゴンクエスト(DragonQuest)」といった日本製ロールプレイングゲーム(RPG)が人気だ。

 一部の人々にとって、ゲームは一つの芸術形式だ。米国のニューヨーク近代美術館(MoMA)では2012年にテレビゲームの収蔵を始め、今後、コレクションをさらに充実させる計画だとしている。

 これまでに約1000本のゲームソフトを集めたというオーストラリア人グラフィックデザイナー、パトリックさん(27)は、秋葉原のスーパーポテトの店内でAFPに、「ゲームは過少評価された芸術だと思う。昔のゲームは想像力を働かせないといけないものが多い。すごいと思う」と語った。

 レトロゲームはまた、初めてゲームを遊んだ時の興奮を呼び起こしてくれる。テレビゲームが普及し始めた当時、10歳だったマットさんは「兄のZXスペクトラム(ZX Spectrum)を、何もわからないままに遊んでいた時のことを思い出す」「昔は友達の家に行って遊んだものだ。今の人たちは、自宅でインターネットをするだけ。昔とは違う」と語った。