【10月29日 AFP】米東部メリーランド(Maryland)州の軍施設で28日、巨大な無人偵察飛行船「JLENS」の係留がはずれ、数時間にわたり漂流を続けた末、隣接するペンシルベニア(Pennsylvania)州に着地した。飛行船からは長さ約2キロメートルのケーブルが垂れ下がり、電線に接触して一部地域で停電を引き起こした。

 飛行船は28日午後0時20分(日本時間29日午前1時20分)ごろ、高度約2000メートルの位置に係留されていたメリーランド州の軍アバディーン性能試験場(Aberdeen Proving Grounds)から漂流を始めた。首都ワシントン(Washington D.C.)北方の上空4600メートルを漂った際には、F16戦闘機が緊急発進して飛行船を追跡した。

 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)によると、飛行船は28日午後4時(日本時間29日午前5時)ごろ、ペンシルベニア州モンツアー(Montour)郡に着地。軍の回収チームが現場に向かった。

 NORADのスコット・ミラー(Scott Miller)報道官によると、尾翼の一部が破損して落下したが、これによる被害やけが人の有無は現時点では不明だ。

 地元テレビは、ヘリウムが充填された同飛行船から垂れ下がったケーブルが電線に接触しペンシルベニア州ブルームスバーグ(Bloomsburg)で停電が発生したと報じており、当局は「そばに近づかないよう」住民らに呼び掛けている。(c)AFP/Thomas WATKINS