【10月25日 AFP】メキシコ西部に上陸した史上最大級のハリケーン「パトリシア(Patricia)」は勢力を弱め、北中部に達した24日には熱帯低気圧に変わった。激しい雨により洪水や土砂崩れなどが発生しているものの、これまでのところ死者の報告はなく、懸念されたほどの大きな被害は出ていない。

 ハリケーンの分類で最も強い「カテゴリー5」に成長したパトリシアは現地時間23日夜、メキシコ太平洋岸のハリスコ(Jalisco)州に上陸。各地で道路が冠水したり多数の樹木が倒れるなどしたが、死者が出たとのは報告ない。

 一時は最大風速90メートルまで発達するとみられていたパトリシアだが、米国立ハリケーン・センター(NHS)によると、北東部のサカテカス(Zacatecas)州を通過する24日朝までに熱帯暴風雨となり、さらに最大風速は13メートルまで弱まり熱帯低気圧となった。だがNHSは「依然として豪雨被害の恐れがある」と警告している。

 メキシコ現地の防災当局によると、ハリスコ州にある人口4000人のアテングイージョ(Atenguillo)では河川の氾濫で家屋250棟が被災した。パトリシアの上陸地点から東方約95キロ離れたコリマ(Colima)州の港湾都市マンサニージョ(Manzanillo)でも、樹木や街頭の標識が倒れるなどの被害が出た。

 上陸前に観測史上最大のハリケーンに成長し、メキシコに甚大な被害をもたらすと危惧されていたパトリシアについて、同国のエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領は23日夜、「この規模のハリケーンとしては、被害は予想以下だったことを確認した」と述べたうえで、今後も豪雨が予想されることから「まだ警戒を解くには早い」と付け加えた。(c)AFP/Jennifer GONZALEZ COVARRUBIAS