【10月23日 AFP】2016年米大統領選の民主党最有力候補、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官は22日、2012年にリビア・ベンガジ(Benghazi)で発生した米領事館襲撃事件に関する下院特別委員会の公聴会で証言し、同事件を政治利用しようとしているとして、野党の共和党を非難した。

 事件では2012年9月11日、同領事館がイスラム過激派の襲撃を受け、J・クリストファー・スティーブンス(J. Christopher Stevens)駐リビア米大使を含む米国人4人が死亡した。かねて注目を集めていたこの証言でクリントン氏は、自身が事件に対する最終的な責任を取ったと繰り返し主張。一方で、領事館に対する警備強化の要請を直接受けたことはなかったと述べた。

 民主党は、共和党主導の下院特別委が2014年5月に開始した同事件に関する調査について、クリントン氏の大統領当選阻止を狙ったものと指摘している。

 クリントン氏は証言の冒頭で、「私は(亡くなった)この4人の献身をたたえるためにやって来た」と発言。事件に対する調査の「党派的な意図」に警鐘を鳴らし、議員らに対し自分と力を合わせて調査を進め、今後同様の事件で犠牲者を出さないよう、「政治的手腕を発揮していこう」と呼び掛けた。

 証言がうまく行けば、クリントン氏は懐疑的な有権者に対し、選挙運動につきまとってきたこの論争を過去のものと思わせることができるかもしれない。しかしもし失敗すれば、同氏の証言は複数のテレビネットワークで生中継されていることもあり、これから来年11月の選挙までの1年余りにわたって、共和党側が同氏の判断力と外交見識についてますます攻勢を強める可能性もある。(c)AFP/Michael Mathes