■デザインが容易にコピーされる事情

 東京の店で見られるトレンドを決めるようなデザインは往々にして、とくに中国のメーカーによって応用されたりコピーされたりする。しかもオリジナルよりずっと安い値段で売られる。

「日本のデザイナーの大半は小規模に働いている。彼らには特許の保護もないし、闘ってくれる弁護団もいないため、大きなブランドが彼らのデザインをコピーして稼ぐことはたやすい」

 信田氏のような業界のベテランは状況の深刻さを認識しており、日本人デザイナーたちに、商標やブランドを詐欺から守るよう求めているという。

「残念なことに、日本のデザイナーのロゴがコピーされたり商標が中国の企業に登録される事例がたくさんある」と、信田氏は言う。「解決策を見つけなければならない」

■若手デザイナー育成のためにできることは

「イッセイミヤケ(Issey Miyake)」や「ケンゾー(KENZO)」、「コム デ ギャルソン(COMME des GARCONS)」の川久保玲(Rei Kawakubo)などを除き、日本のデザイナーは従来、ブランドの保護でも販売でも、海外市場にあまり注意を払ってこなかった。

「長い間、日本国内の市場が大きく消費も好調だったため、デザイナーやアパレル企業の多くは国内だけでビジネスが成り立っていた。わざわざ海外の市場にまで目を向ける必要がなかった」と、読売新聞(Yomiuri Shimbun)東京本社編集局次長の宮智泉(Izumi Miyachi)氏は言う。

 過去10年間で輸入は徐々に伸びているが、世界を視野に入れた日本人デザイナーは東京よりもパリ(Paris)でのショーを好む。

「それでも、キャリアをスタートさせた若いデザイナーたちに私たちができることは、プラットフォームを提供することだ」と、信田氏は語った。(c)AFP/Ammu KANNAMPILLY