【10月13日 AFP】ラグビーW杯イングランド大会(Rugby World Cup 2015)が開幕するまで、日本代表の五郎丸歩(Ayumu Goromaru)の存在は日本国内でさえもあまり知られていなかった。

 しかし、大会の1次リーグが終わる頃には、日本代表のフルバックは国民的英雄となり、世界中のラグビーファンにその名前を知らしめることになった。

 29歳の「Goro」は、日本代表が2度のW杯優勝国である南アフリカに34-32で衝撃的な勝利を挙げた大会第1週に、一躍ラグビー界でスター選手の仲間入りを果たした。

 そのきっかけとなったのは、日本が南アフリカ戦の試合終了間際にペナルティーキックで同点を狙うのではなく、巧みなパス回しによる連続攻撃の末、ロスタイムにカーン・ヘスケス(Karne Hesketh)がトライを決めるという、ラグビーの常識を上回るハリウッド(Hollywood)映画さながらの劇的勝利を目指す勇敢な決断を選択したことだった。

 この試合で24得点を記録した五郎丸は、「大会初戦で南アフリカを破り、ラグビーの歴史を変えたかもしれない」とコメント。この勝利は、2019年に次のW杯(Rugby World Cup 2019)を開催する日本のラグビー界にとって奇跡的な出来事となった。その後行われたサモア戦では、日本国内で2500万人が試合を視聴した。

 ワールドラグビー(World Rugby)のベルナール・ラパセ(Bernard Lapasset)会長は、「(2019年と)その先のW杯にとって格好の宣伝だ。さらに、その資金はすべて日本のラグビーのために投資されることになり、業界の発展につながる素晴らしい功績となる」と語っている。

 ラグビーW杯史上最大の番狂わせは決してまぐれではなく、その後も日本はサモア代表と米国代表から勝利を飾った。1次リーグで3勝を記録しながら決勝トーナメント進出を果たせなかったのは、W杯史上初めてとなる。