■「2020年までに居住不可能」の予想も

 ガザは絶望感に満ちている。特に10万人以上が家を失い、2200人以上が死亡した昨年夏の紛争後にひどくなっている。

 人口180万人のガザ地区はイスラエルに封鎖され、エジプトとの境界も閉ざされ、復興は遅々として進まない。水や電気の供給は限られ、世界銀行(World Bank)によれば失業率は42%と世界で群を抜く。若年層の60%以上に仕事がなく、人口の39%が貧困ライン以下の暮らしを送り、80%以上がなんらかの支援を頼りに生活している。

 国連(UN)は最近、ガザは5年以内に人が暮らせなくなる可能性があると指摘した。

 この危機的状況の下、最近の世論調査では住民の52%がガザからの脱出を希望しているが、境界が封鎖されているために行く手を阻まれている。なかには地中海を渡って欧州を目指す危険な旅に賭ける人々もいる。

 エコノミストのオマル・シャバン(Omar Shaban)氏は、自殺が増えている主要因は「絶望感」だという。「人々を傷つけ、抑圧する」社会では「自殺、暴力、過激化が生じる。これらの急増が懸念されている」

「ここでは老いも若きも、誰もが貧困の中で暮らしている」とアブ・アシさんはいう。「生きているよりも死ぬ方がましだという地点にたどり着くときには、本当に何も残されていないということだ」(c)AFP/Sakher Abou El Oun