【10月12日 AFP】米ハリウッド(Hollywood)女優たちが、男性俳優との賃金格差や、映画の役を誰に与えるか決める前に制作側が性的な要求をするなどの行為の撤廃を求め、続々と声を上げ始めている。

 最近、こうした声に加わった女優のアシュレイ・ジャッド(Ashley Judd)さん(47)は米誌バラエティー(Variety)の最新号で、「映画界で最も有名で称賛されている制作者の一人」が1990年代後半、彼女をホテルのスイートルームに誘ったと語った。この男性の名前は明かされていない。

 ジャッドさんによると、彼女が性的な誘いに乗らないことが明確になった後、この男性は自分がシャワーを浴びるのを見たいかとジャッドさんに尋ねたという。

「私は当時、自分に何が起きているのか分かっていなかった」とジャッドさんは語った。「あの出来事を振り返って冷静に評価できるようになるまで何年もかかった。ものすごく間違っていて、違法なことだったと思う」

■次々と声を上げ始めたトップ女優たち

 ジャッドさんの話は珍しいことではなく、ハリウッドにおける女性に対する嫌がらせや差別は、二流市民として女優たちが扱われているということの最も露骨な証拠に過ぎない。

 最近は複数のハリウッドの女性たちが、待遇改善や公平な報酬を求めて徐々に権利を主張し始めている。

 賃金格差の問題は昨年、映画制作大手ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)からハッキングされたメールで、アカデミー賞(Academy Awards)女優であるジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)さんがヒット映画『アメリカン・ハッスル(American Hustle)』に出演した際の報酬が、共演した男性俳優たちより低かったことが明らかになり、メディアの見出しを飾った。

 女優のパトリシア・アークエット(Patricia Arquette)さんも今年のアカデミー賞受賞スピーチで、米映画界の賃金格差について非難した。

 さらに、メリル・ストリープ(Meryl Streep)さんやエマ・ワトソン(Emma Watson)さん、グウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)さんなど、ハリウッドの最も有名なスター女優らも声を上げ、この問題に光を当てた。

 パルトローさんはバラエティー誌に対し、「ロバート・ダウニー・Jr(Robert Downey Jr)がもらっているほどの額の価値がある人なんて誰もいないのよ」と人気アクション映画シリーズ『アイアンマン(Iron Man)』で共演した俳優について語り、「でも私が格差を明らかにしたら、みんな多分、びっくりするでしょうね」と述べた。

 米誌「フォーブス(Forbes)」による2015年版の最も稼いだ俳優リストによると、ダウニーさんは8000万ドル(約96億円)を稼ぎ3年連続でトップ。

 最も稼いだ女優のトップはジェニファー・ローレンスさんだったが、その額はダウニーさんより約3000万ドル少ない5200万ドル(約62億円)にとどまっている。(c)AFP