【10月9日 AFP】中国では喫煙に起因する死者の数が、2030年までに年間約200万人に達する見込みとの研究報告書が9日、発表された。この数字は2010年時点の約2倍となる。世界最多の人口を抱える同国では、早死にする人が急増していると、研究チームは懸念を示している。

 英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された論文によると、現在の傾向から判断すると、若い中国人男性の3人に1人は、将来喫煙が原因で死亡する可能性があるという。ただ、女性の間では喫煙者が減少しており、それに伴う死者も減少しているという。

 中国では、世界全体のたばこ生産量のうちの3分の1以上が消費されており、喫煙に起因する死者の数は、世界全体の6分の1を占める。

 研究チームは、「中国で禁煙が広がらなければ、喫煙に起因する年間死者数は、2010年の約100万人から2030年には約200万人に、2050年には約300万人に増加するだろう」と指摘している。人口約14億人を抱える中国での2010年の喫煙関連の死者数は、男性が約84万人、女性が約13万人だった。

 喫煙者の死亡率は、喫煙経験が一度もない人に比べて約2倍となっており、肺がんや脳卒中、心臓発作などのリスクが高まる。

 研究チームは、40~79歳の中国人男性のうち、喫煙が原因で死亡した人の割合は、1990年代前半の約10%から現在の20%へと2倍に増加したとしている。

 また同誌に掲載された、米アトランタ(Atlanta)エモリー国際保健研究所(Emory Global Health Institute)のジェフリー・コプラン(Jeffrey Koplan)氏とマイケル・エリクソン(Michael Eriksen)氏のコメントによると、中国は世界最大のたばこ消費国であるだけでなく、原料となるタバコ栽培やその後の製造においても世界最大であるという。

「国営たばこ企業『中国国家煙草公司(Chinese National Tobacco Corporation)』は、たばこの販売から得た利益と税金を通じて、中央政府の歳入7%以上を提供している」と両氏は説明している。(c)AFP/Mariette LE ROUX