【10月8日 AFP】米当局が先週、国際テロリストとして指定したエミリー・ケーニヒ(Emilie Koenig)容疑者(31)は、フランス北西部ブルターニュ(Brittany)地方で仏国家憲兵隊員の娘として生まれ育った後、イスラム過激派への変貌を遂げた。

 ケーニヒ容疑者は現在、シリアで戦闘を繰り広げるフランス出身のイスラム過激派勢力の主要メンバーで、シリアで戦闘員の勧誘やプロパガンダ活動に関わっている。

 既に昨年9月の時点で国連(UN)の要注意人物リストに加えられていたが、先週には、フランス国内の支持者に対し仏政府機関への攻撃を呼び掛けたとして、米国務省によって国際テロリストに指定された。

 2012年、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」と共に戦っていた夫に合流するためにシリアへ渡航し、フランス国内での資産が凍結された。これまでにISに加わった数百人のフランス国民の中でも、最も早い段階で渡航した人々のうちの一人だった。

 1984年、仏北西部ロリアン(Lorient)で4人家族の末っ子として生まれ、最初の夫と出会うまではごく普通の人生を送っていた。

 薬物関連の罪で収監された経歴のあるアルジェリア出身の男と結婚したのをきっかけに、イスラム教に改宗。アラビア語を習い、サムラ(Samra)と名乗るようになった。やがて、顔全体を覆うニカブを着用するようになり、フランスを拠点とするイスラム急進派組織フォルサン・アリザ(Forsane Alizza)とも接触した。

 フォルサン・アリザは、仏政府が2010年、顔全体を覆うベールの公共の場での着用禁止を決めたことに対して抗議し、注目を浴びた組織だ。元メンバーの中にはイスラム過激主義的な行為に関与するようになった者もいた。そのうちの一人、ヤシン・サルヒ(Yassin Salhi)容疑者は今年6月、雇用主の頭部を切断し、ガス工場の柵にくくりつけてイスラム過激派の旗で囲んだ。

 10年には、ケーニヒ容疑者がニカブを着用し、ロリアンのモスク近くでジハード(聖戦)を呼び掛けるチラシを配布している姿が目撃されている。また、顔全体をベールで覆い、パリ(Paris)での抗議運動の先頭に立つ姿も頻繁に見られていた。12年に裁判所に出頭した際には、ベールを取ることを拒否して警備員と口論を起こし、その様子を撮影してユーチューブ(YouTube)に投稿したりもした。