【10月7日 AFP】米連邦捜査当局は6日、中国人実業家から130万ドル(約1億6000万円)の賄賂を受け取った疑いで、カリブ海の島国アンティグア・バーブーダ出身のジョン・アシュ(John Ashe)元国連総会(UN General Assembly)議長(61)を逮捕した。

 かつてアンティグア・バーブーダの国連(UN)大使に任命され、2013年9月から1年間にわたり国連総会議長を務めたアシュ容疑者は、米ニューヨーク(New York)市近郊の自宅で身柄を拘束され、訴追された。70年の歴史の中でも前例のない醜聞を受けて、国連には衝撃が広がっている。潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長は「衝撃を受け、深く心を痛めている」と語った。

 アシュ容疑者は、中国人の不動産開発業者で富豪の呉立勝(Ng Lap Seng)容疑者が提案に関わっていた中国特別行政区マカオ(Macau)の国連会議センターの建設を支持する見返りに、呉容疑者から賄賂を受け取っていた疑いが持たれている。呉容疑者は先月、2年間で450万ドル(約5億4000万円)の現金を不法に米国に持ち込んだ容疑で、ニューヨークで逮捕されている。

 また、事件に関与したとされる他3人が収監された。米検察当局は記者会見で、「もし(アシュ容疑者の収賄の事実が)証明されれば、地元自治体や州政府のあまりに多くを巻き込んだこの汚職事件の害悪が、国連にまで及ぶことになる」と述べた。(c)AFP/Thomas URBAIN/Carole LANDRY