■「韓流」に乗る

 ブランド各社にとって韓国の真の魅力は、同国のテレビドラマやポップミュージックのいわゆる「韓流」に乗って、アジアやその周辺まで商品のPRが行き届きやすい点にある。

「韓流」ブームの力は、直近では昨年韓国でヒットし、中国でも大反響を呼んだテレビドラマ「星から来たあなた(My Love from Another Star)」によって改めて証明された。

 ヒロインのチョン・ジヒョン(Jun Ji-Hyun)が履いた「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」の625ドル(約7万5000円)の靴は、アジアの全店で完売。中国では、番組内での使用がうわさされた「イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)」の口紅も売り切れた。

 ソーシャルメディア上でアジアとその周辺に数百万人のフォロワーを持つスタイルアイコン、ラッパーのG-Dragon(27)は、韓流ブームのシンボル的存在だ。

 G-Dragonのお気に入りアイテムは、「イヴ・サンローラン」のジャケットから「クリスチャン ルブタン(Christian Louboutin)」のスニーカーまで、フォロワーの間でまたたく間に特定され、Kポップアーティストのルックに特化した数十のウェブサイトで共有される。

 今ではG-Dragonは、アジアの都市だけでなく、フランスのパリ(Paris)や英国のロンドン(London)で開かれるファッションショーでもフロントロウの常連となっている。

 また、市場調査会社ユーロモニター(Euromonitor)がまとめた今年5月の報告書によると、韓国のテレビドラマはコスメ業界にとっても、魅力的なマーケティング機会になっているという。