【10月1日 AFP】ロシア軍は9月30日、内戦が続くシリア領内での空爆を開始した。ロシアが旧ソビエト連邦構成国以外で軍事作戦を行うのは、1979年のアフガニスタン侵攻以来。

 ロシアとシリアの両政府は、空爆がイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」を標的としたものだったと説明している。シリアの治安当局筋によると、標的にはハマ(Hama)とホムス(Homs)の両県の「テロリスト拠点」が含まれていた他、ラタキア(Latakia)県でもロシア軍が政府軍の空爆を支援した。

 だが、米国は空爆目標がISだったとの主張を否定。本当の目標は、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の打倒を目指す反体制派勢力だったとの見解を示している。

 米首都ワシントン(Washington D.C.)の国防当局者は記者らに対し、「ISIL(ISの別称)に対する空爆は確認できていない。確認できたのは、シリア反体制派に対する空爆だ」と説明した。

 一方、アシュトン・カーター(Ashton Carter)国防長官は、「(空爆は)おそらくISILの部隊がいない地域で行われたとみられる」と、より慎重な見解を示した上で、ロシアのシリア内戦への参戦は内戦の長期化にしかつながらず、「逆効果」となるだろうと批判した。

 ロシア国防省は、同国の戦闘機がシリア領内で20回の飛行を実施し、ISの標的8か所を空爆で破壊したと発表。標的にはISの指揮所1か所も含まれるとされる。

 一方、国連総会(UN General Assembly)に合わせ米ニューヨーク(New York)を訪れているシリアの主要反体制派組織「シリア国民連合(National Coalition)」のハリド・ホジャ(Khaled Khoja)代表はAFPの取材に対し、ホムス県でロシアが実施した空爆により、子ども5人を含む民間人36人が死亡したとの情報が、地元の活動家や議員から寄せられたことを明らかにした。

 ホジャ氏は「ロシアの介入の目的が政権への支援にあり、シリア領内でのさらなる殺りく行為の支援にあることは極めて明白だ。混迷はよりいっそう深まるだろう」と、ロシアによる空爆を非難した。(c)AFP