【9月29日 AFP】ネパールは、世界最高峰エベレスト(Mount Everest、8848メートル)をはじめとする山々への登山に関して、安全性向上のために、重度の障害のある人々や、あまりに高齢と判断される人々には登山を禁止することを検討している。ネパール観光局が28日、明らかにした。

 地震による雪崩でエベレストのベースキャンプで18人が死亡した事故から5か月。規制案は、安全性の向上を目的としているとはいえ、差別だという非難を招く恐れがある。

 しかし、AFPの取材に応じた観光局のゴビンダ・カルキ(Govinda Karki)氏は、「エベレスト登山は冗談では済まない。差別の問題ではない。脚がないのにどうやって山に登れる?誰かに背負って登ってもらわなければいけない」と話し、「私たちは、全ての人々にとって山をより安全な場所にしたい。そのためにはいくつかの規制が必要だ」と述べた。

 カルキ氏はまた、ネパール政府は、世界最高峰の山に対応できることを証明してもらうために、過去に6500メートル以上の高さの山を登ったことがある登山者にのみ、許可証を発行することを検討していると明らかにした。

 だが、近年、障害を克服し、偉業を達成するためにエベレストを目指す登山者は大勢いる。

 2006年には、凍傷で両足を失ったニュージーランド人の登山家がエベレスト登頂に成功。また、2001年には視覚障害者の米国人がエベレスト登頂に成功し、その7年後には、視覚障害者としては世界で初めて、7大陸の最高峰を制覇した。

 ネパール政府は、16歳以下にはエベレスト登山を許可していないが、年齢の上限は設けていない。

 エベレストの最高齢登頂者は、当時80歳だった日本人の冒険家、三浦雄一郎(Yuichiro Miura)氏(82)。(c)AFP