【9月29日 AFP】火星上に液体の水が存在することを示す「これまでで最も有力な証拠」を発見したとの研究結果が28日、発表された。火星に微小生命体が存在する可能性を高める発見だ。

 研究チームによると、火星表面の急斜面を走る興味深い線が、高濃度の塩分を含む塩水の筋である可能性があることが分かった。2010年に観測されていたこの黒い筋は、春に形成され、夏に大きくなり、秋までに消失することから、水の可能性があると推測されていた。

 存在の可能性が示されたのは「水和塩鉱物」で、一般に知られている水分子のH2Oそのものではないが、火星上に液体の水が存在するという仮説を「強く裏付ける」ものだと、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表した論文で研究チームは結論付けている。

 論文共同執筆者の米アリゾナ大学(University of Arizona)のアルフレッド・マキューエン(Alfred McEwen)氏はAFPの取材に、液体の水が存在するにしても、それは「含水土壌であり、表面に付着した遊離水ではない」可能性が高いと語った。

 米航空宇宙局(NASA)によると、同局の火星探査機「マーズ・リコネサンス・オービター(Mars Reconnaissance OrbiterMRO)」によってなされた今回の発見は、「現在の火星上を液体の水が断続的に流れていることを示すこれまでで最も有力な証拠」だという。

 論文共同執筆者の米ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)のルジェンドラ・オジャ(Lujendra Ojha)氏によると、筋の中に水和塩鉱物が存在することは「筋の形成に水が極めて重要な役割を果たしている」ことを示しているという。「過塩素酸塩」と呼ばれるこの鉱物は、構造中に水分子を含有している。