【9月29日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)は28日、北部クンドゥズ(Kunduz)州の州都クンドゥズの大部分を制圧した。タリバンが州都に侵攻したのは、2001年に政権の座を追われて以降初めて。タリバンは市内の政府関連施設や警察署などを制圧。住民らの多くが市外へと避難した。

 市内では激しい戦闘が発生。タリバン戦闘員らは、同市の刑務所から受刑者数百人を脱走させ、政府の建物には火を放ち、当局者らの公邸にタリバンのシンボルとなっている白い旗を掲げた。地元メディアが住民の話として伝えたところによると、戦闘後の街路には、多数の遺体が散乱している。

 アフガニスタン内務省のセディク・サディキ(Sediq Sediqqi)報道官はAFPに対し、タリバンが市内に進攻し刑務所などを制圧した事実を認めたが、「今後、援軍が派遣され、同市は奪還される」と語った。だが、アフガニスタン兵士の多くは日没までに、同市郊外にある空港へと撤退。タリバンは、これまで達成できなかった主要都市の掌握という軍事目標に限りなく近づいている。

 同国では9か月前に、北大西洋条約機構(NATO)軍の戦闘任務が終了したばかり。タリバンによるクンドゥズ侵攻は、欧米の訓練を受けたアフガニスタンの治安部隊に大きな精神的打撃を与えた。

 クンドゥズが陥落すれば、タリバン新最高指導者のアクタル・マンスール(Akhtar Mansour)師のイメージアップにつながることは疑いがない。タリバン内部では、マンスール師の指導者就任をめぐり内部の亀裂が深まっており、同師にはそこから気をそらせたい狙いがある。同日夜に出した声明で同師は、「大勝利」を収めた幹部らをたたえた。(c)AFP/Gul Rahim