【9月27日 AFP】クロアチア内務省は26日、西欧を目指して同国を通過する移民が急増しており、25日だけで1万人近くが同国入りしたと発表した。1日の記録としては過去最高で、セルビアから入国する移民の人数はこの10日間で計6万5000人に達したという。

 クロアチアを経由する移民の急増は、ハンガリーが移民入国阻止のためセルビアとの国境を封鎖したため。クロアチア当局では、新たに到着した移民をセルビアとの国境付近の村に新設した難民施設に保護した後、バスか鉄道でハンガリー国境へと移送している。

 クロアチアのランコ・オスタジック(Ranko Ostojic)内相は、記者団に「鍵となるのは、ハンガリー側で全てが順調に運ぶことだ。ハンガリーは今も(移民を)受け入れ、(オーストリアとの国境に)移送している」「状況は制御できている」と述べた。

 ただ、ハンガリーはクロアチアとの国境も封鎖する方針で、今後は移民たちがモンテネグロを通過する「南方ルート」を選ぶ可能性が指摘されている。オスタジック内相は、クロアチア南部で移民を保護する必要が生じる事態を想定して準備を進めていると語った。

■メルケル首相の支持率低下

 欧州が直面する第2次世界大戦(World War II)後最悪の移民危機に緩和の兆しが見えない中、戦争や貧困を逃れようとする移民たちの目的地となっているドイツでは、移民歓迎策を取るアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の支持率が最新の世論調査で急降下した。

 26日の誌面で支持率を発表した独ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)は、メルケル首相の「難民問題に対する精力的な取り組みがそれほど支持を得ていないのは明らかだ」と述べている。

 メルケル首相の歓迎政策に励まされてドイツを目指す移民の数は、年末までに最大100万人に上るとみられている。

 国際移住機関(International Organization for MigrationIOM)によると、欧州には今年これまでに既に約50万人の移民や難民が流入した。多くはトルコからゴムボートなどで海を渡ってギリシャに入り、バルカン半島とハンガリーを経由して西欧を目指す過酷な旅を続けている。(c)AFP/ dinghies